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気合を入れた本とそうでない本の差が激しい、読書感想文。SF・ファンタジーに偏り気味
日本SF
2008/07/27 (Sun) 司政官/眉村卓
2008/07/27 (Sun) 星虫/岩本隆雄

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)
(2007/09/21)
菅 浩江

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評価★★★☆☆

あらすじ

新作アニメ「ダグリアンサーガ」のキャラコンテストで最優秀賞を受賞した靖子。彼女のもとに送られてきた村娘アーダのフィギュアは、最新テクノロジーで自在に動き、設定に応じた感情まで持っていたが……。少女とフィギュアの優しく切ない交流を描き星雲賞を受賞した表題作、高校在学中に発表されたデビュー作「ブルー・フライト」、文庫初収録のファンタジイ「月かげの古謡」など、初期傑作8篇を収録した待望の作品集

感想

優しくて、ちょっと切なくて、少女の想いがぎゅっと詰まった短篇集。
8つの作品が収録されている。

  • 雨の檻
    移民船の中で生まれたため細菌に勝てず、両親にさえ触れることが出来ないシノは、ロボットのフィーと部屋で二人暮しをしている。
    身の回りの世話は全てフィーがしてくれ、両親とは立体映像で話すだけ。
    ところが、フィーが段々おかしな行動をとるようになって…。
  • カーマイン・レッド
    美術専門学校に編入したいじめられっ子の僕と、自動人形の少年ピイの友情物語。
  • セピアの迷彩
    チューブ・ベイビー、つまりクローン体である良美と、そのオリジナルである智子が邂逅する。
  • そばかすのフィギュア
  • カトレアの真実
    ビョーキの巣窟、ロシアンルーレットしている街、快楽と死が背中合わせしている場所に住む、死病に取り付かれた私が、頬にカトレアの入れ墨をしている彼との思い出を語る。
    彼女なりの考えが分かる気がする。
  • お夏 清十郎
    この短篇集の中で一番好き。
    この作品は星4つ。
    時を遡る能力をもつ奈月は、意識を過去へ飛ばして昔の日舞を見、現代に古い踊りを復活させている。
    時遡にはつらい肉体的苦痛が伴い、返ってくると世の中はどんどん進み、知らない顔が揃っている。
    次期家元と紹介された夢月と語らい、今は亡き清十郎との思い出を胸に、奈月は生きる。
    彼女の芸が、舞台が、想いが美しくて、泣きそうになった。
  • ブルー・フライト
    試験官ベビーとして遺伝子操作により生まれた完全に近い人間達は、エリートであることに裏切りようのない責任を負わされていた。
    彼らの不安を解消するために、顔も知らぬ親から”遺志”という名のメッセージが送られる。
    航宙士を目指すアヤに贈られた”遺志”は翔びなさい、アヤ”という言葉だった。
  • 月かげの古謡
    父を超えたいと願う領主の息子、幻想的な森、西洋の昔話のような謎の美女、謎掛け…。
    ちょっと切ないファンタジー。
    西の果ての森には、音楽好きの番人に守られた財宝が眠っているらしい。
    酒場でそんな噂を聞きつけた領主の息子は、宝を手に入れて父に認めてもらうため、先祖伝来の黄金の笛を手に西へと向かう。

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌
黄泉がえり (新潮文庫)黄泉がえり (新潮文庫)
(2002/11)
梶尾 真治

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評価★★★☆☆

あらすじ

あの人にも黄泉がえってほしい―。熊本で起きた不思議な現象。老いも若きも、子供も大人も、死んだ当時そのままの姿で生き返る。間違いなく本人なのだが、しかしどこか微妙に違和感が。喜びながらも戸惑う家族、友人。混乱する行政。そして“黄泉がえった”当の本人もまた新たな悩みを抱え…。彼らに安息の地はあるのか、迫るカウントダウン。「泣けるリアルホラー」、一大巨編。

感想

草薙剛主演の感動の映画「黄泉がえり」の原作。
カジシンが原作だとは知らなかった。
映画と違いファンタジーではなくSF。

望まれて蘇った人々と黄泉がえりを望んだ人々の心の交流が胸にくる。
カジシンのノスタルジーはいいなぁ。

【以下ネタバレあり】

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌
もう一人のチャーリイ・ゴードン―梶尾真治短篇傑作選 ノスタルジー篇 (ハヤカワ文庫JA)もう一人のチャーリイ・ゴードン―梶尾真治短篇傑作選 ノスタルジー篇 (ハヤカワ文庫JA)
(2003/08)
梶尾 真治

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評価★★★☆☆

あらすじ

誰もが涙した感動の名作『アルジャーノンに花束を』へ熱きオマージュを捧げた「もう一人のチャーリイ・ゴードン」をはじめ、旧家での哀愁をおびた不思議な一夜をせつせつと語る「芦屋家の崩壊」、結婚百周年の老夫婦を思いもよらない形で祝福する「百光年ハネムーン」と、いつの時代でもどんな場所においても、昔をふるかえると懐かしさに思わず心揺さぶられてしまう人のやさしさ悲しさを描くノスタルジック・ロマンス6篇。

感想

  • もう一人のチャーリイ・ゴードン
    「アルジャーノンに花束を」のオマージュ。
    薬によって子どもの姿になった父親が、離婚した妻に引き取られた息子に会いにいく。
    父子に感情移入したためか、ラストにもやもやした。
    母親が悪者に見えた。
  • 芦屋家の崩壊
    これはいいノスタルジー。
  • 地球屋十七代目天翔けノア
    ノスタルジーで引っ張っといて、最後にオチが。
  • 夢の神々結社
    何かいいなぁ。
    短編としてまとまっている。
  • 清太郎出初式
    ウェルズの「宇宙戦争」のパロディ。
    あの「宇宙戦争」からこんな感動作が生まれるなんて。
  • 百光年ハネムーン
    いい話なんだけど…それだけ。


テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌
フランケンシュタインの方程式―梶尾真治短篇傑作選 ドタバタ篇 (ハヤカワ文庫JA)フランケンシュタインの方程式―梶尾真治短篇傑作選 ドタバタ篇 (ハヤカワ文庫JA)
(2003/09)
梶尾 真治

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評価★★☆☆☆

あらすじ

名作SF短篇として知られる「冷たい方程式」を大胆にパロディ化した「フランケンシュタインの方程式」をはじめ、吸血鬼伝説に異常なまでのひねりを加えた「干し若」、選挙運動にまつわるヘンな都市伝説を目の当たりにする「泣き婆伝説」、味覚をコミュニケーションの手段とする異星人との接触にまつわる騒動を描いた「地球はプレイン・ヨーグルト」と、とんでもない異変を豪快に笑い飛ばす大混乱大爆笑のドタバタSF6篇収録。

感想

シュールでややブラックユーモア的な短編集。
印象に残ったのは「ノストラダムス病原体」
が、今となるとどんな話か思い出せないorz


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)
(2003/07)
梶尾 真治

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評価★★★☆☆

あらすじ

違う時間を生きる恋人たちの心情を痛切に描いて、発表と同時にスタンダードになったと絶讃されたデビュー作「美亜へ贈る真珠」をはじめ、亡くなった男を想いつづける女心の深淵にふれる「梨湖という虚像」、夫婦のすれちがいが驚くべきできごとに発展する「玲子の箱宇宙」、時間を超越して男女が運命的なめぐりあいを果たす「時尼に関する覚え書」と、女性名をタイトルに織りこんだ、泣ける抒情ロマンスSF7篇を収録。

感想

愛と時間がテーマの短篇集。
生きたタイムカプセルである航時機、未来から過去へ生きていく遡時人、過去にしか戻れないWH(ワームホール)固定装置など、時間SFらしいガジェットが登場する。

7つの短編の中で一番好きなのは「江里の”時”の時」
WH固定装置を使ってパラレルワールドへ跳んでしまった黒沢が、そこで見た江里に恋をする。
けれど彼女は黒沢に気付かず、黒沢はただ眺めていることしか出来ない。
二度目に江里の世界へ跳んだ時、黒沢は江里がノートに黒沢の肖像画と名前を書いているのを発見する。
それから黒沢は、なんとか江里に連絡をとろうと…。
ラストはぞわわっと感動の鳥肌がたった。

優しい言葉で描かれる、愛と時間の物語。
カジシンのタイムマシンものは大好きです。


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司政官 (JDC SCIENCE FICTION SERIES)司政官 (JDC SCIENCE FICTION SERIES)
(1992/10)
眉村 卓

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評価★★☆☆☆

あらすじ

地球人類が星々に進出した時代。だが、それまでの連邦軍による植民惑星の統治が軋轢を生じさせるに及び、連邦経営機構は新たな制度を発足させた――それが司政官制度である。官僚ロボットSQ1を従えて、人類の理解を超えた植民星種族(ロボット、植物、角の生えたヒト型生命など)に単身挑む、若き司政官たちの群像。

感想

司政官。
植民者を守り原住民と融和させ、その世界にふさわしい文明を作り出すという理念をもった人々。
連邦軍の高圧的な支配から原住民を守りつつ、植民者と原住民の間を取り持つ役割。
その司政官の創設から終焉までが、4人の司政官を通じて描かれている。

司政官は、始めから内部に矛盾を含んでいた。
惑星を守り本来の姿に戻すためなら、そもそも司政官などいらない。
文明を発達させることが目的なら、支配者とならずにいられない。
更に、文明が発達し、植民者と原住民それぞれが独立し、国家をつくり、協力するようになった時、司政官は不要となる。
司政官は一過性の制度だった。
それでも誇りをもって取り組んだ人々がいた。

悪かぁないんだが、私の趣味じゃなかった。
これから読むなら、続編も収録されている「司政官全短編」がおすすめかと。


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
星虫 (ソノラマ文庫)星虫 (ソノラマ文庫)
(2000/06)
岩本 隆雄

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評価★★★☆☆

あらすじ

宇宙に憧れ、将来は宇宙飛行士としてスペースシャトルを操縦することを夢見る高校生・氷室友美。そんな彼女が夏休み最後の夜に目にしたのは、無数の光る物体が空から降ってくる幻想的な光景だった。後に“星虫”と呼ばれるこの物体は、人間の額に吸着することで宿主の感覚を増幅させる能力を持った宇宙生物で、友美もすっかり星虫に夢中になってしまう。ところが、やがて人々の額で星虫が驚くべき変化を始めて―。幻の名作が大幅な加筆の上、復活。

感想

これはいいジュブナイル。
多少のご都合主義や、対大人社会という意識があるため、中・高校生に読んで欲しい。

夢を見ること、夢に向かって努力すること、夢を叶えること。
この本のテーマは「夢」

友美と広樹が肥大化した星虫を連れて、空を飛び宇宙へ向かった時はドキドキした。
始めはよくある学園もののライトノベルかと思ったが、星虫が成長し、友美と広樹の関係が変わってきたところで面白くなってきた。


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
敵は海賊・海賊版 (ハヤカワ文庫 JA 178)敵は海賊・海賊版 (ハヤカワ文庫 JA 178)
(1983/01)
神林 長平

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評価★★☆☆☆

あらすじ

火星の赤い砂漠のなかの町、サベイジにあるバーに宇宙海賊・よう冥を訪れた女はシュラール星の女官長。通商使節として火星にやってきて行方不明になった王女を捜し出して欲しいという――王女捜索に赴くよう冥、それを追いかける黒ネコ型宇宙人の海賊課刑事のアプロと相棒のラテルがおりなす痛快スペース・オペラ。

感想

神林長平作品は、あらすじと冒頭だけでわくわくさせるものがある。
本作もそう。
コンピュータ支援著述用ツール・ソフトウェアCAW-systemが冒頭で出てきて、思わずニヤリとなった。
CAWは「言壺」のワーカムそっくりで”その形容詞はふさわしくない”だの”あなたの書き方では意味が通らない.あなたは要するにこう書きたいのか?”だの、どこかで聞いたことがあるようなメッセージを繰り出す。

海賊課刑事の黒猫アプロと高機動宇宙フリゲート・ラジェンドラのやりとりが面白い。
アプロが艦内でシーツをレーザーで切り始めたら〈やめて下さい〉〈わたしを壊すつもりですか。まったく、もう、これがわたしの上司かと思うと、電源をショートさせて死んでしまいたい。――ラテル、アプロ、シートは爪で裂けばいいんですよ。アホ〉と返す。
フィラール女王に会った時のために身づくろいしようとするアプロとラジェンドラの会話では、こんな感じ。

「時間かかるなあ。腹がへった。どんな料理がでると思う?」
〈まだ言ってる。猫料理がでないことを祈ってますよ〉
「ネコってうまいのかな」
〈知りません。おそらくひどい味だと思います。アプロを見ればわかる〉
「ウーム、やっぱりおまえの会話回路はまともじゃない。ラテルの影響だ。ラジェンドラ、気をつけないとおまえもラテルなみの頭になっちまうぜ」
〈ネコよりはましです〉
「アプロよりまし、と言わないところがすごく皮肉っぽいのだよな。ラテル調だ」

神林長平作品は最初は面白いのだけれども、ラスト近くになると読んでいる私が息切れしてしまう。


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)
(2003/05)
冲方 丁

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評価★★☆☆☆

あらすじ

なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。

感想

ハヤカワ文庫JAであることからSFだと思っていたのだが、こりゃアクションかハードボイルドではないか。
退廃的な雰囲気が漂う街で、元娼婦の15歳の女の子が金色の鼠の協力を受けて戦う。しかも銃撃戦がメイン。

どうやら中盤(2巻)以降はカジノ戦がメインになるらしい。
そんな素振りは今巻ではさっぱり出てこなかったのに。
頭脳戦は面白そうだが、このシリーズは何がメインなんだ…?


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
今はもういないあたしへ… (ハヤカワ文庫JA)今はもういないあたしへ… (ハヤカワ文庫JA)
(1990/01)
新井 素子

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評価★★☆☆☆
本格SFロマン。

あらすじ

交通事故で瀕死の重傷を負った少女は、半年の昏睡から目覚めた。身体に傷は残っていないにもかかわらず、事故の後遺症か、彼女は外界に対する現実感を喪失したまま悪夢に悩まされつづける。そして次第に明らかになっていく恐るべき事実…表題作「今はもういないあたしへ…」。汚れきった海を裸で漂っていたひとりの少女。その少女をめぐり、彼女を見つけた三人の男女がまきこまれていく悲しい運命…23世紀の海上都市を舞台に生物の進化する意志、時を超えた想いを描いて1982年の星雲賞日本短篇部門を受賞した「ネプチューン」の二篇を収録。

感想

星新一の解説を読みたくて、手を出した作品。

「ネプチューン」と「今はもういないあたしへ…」の二本立て。
「ネプチューン」は進化論だとかタイムリープだとかそこらへんの話。
「今はもういないあたしへ…」はクローン人間の話。
軽い文体だけど、しっかりSFしてる。

星先生の語り口が好きだ。
新井素子の語りかけ文体は太宰治からきており、新井さんの作品が広く読まれているのを下地として俵万智のような短歌が出現してきたと、興味深いことを語っている。

これからのSFについても言及している。
1988年に書かれた解説なので、今となっては時代を感じるが。

いまの世に、サイバーパンクという用語が、わけもなく歩きまわっている。なんのことなのか、わけがわからない。けちをつけたのは、私が最初かな。
新井さんの出る少し前には、ニューウェーブという用語がうろついていた。それはすっかり忘れ去られ、だれひとり文字にしない。こういうさわぎに巻き込まれたら、作家もだめになる。もともと、売れない人のやっかみなのだ。
ハインラインは死去するし、サイバーパンクはあだ花だし、SF界はどうなるのだろう。スピルバーグは、どこまでがんばるか。なんらかの形でルネッサンスが起るのか、それを見たいものだ。
サイバーパンクもニューウェーブもブームは過ぎ去り、もはや過去のこと。
今のSFはライトノベルと融合しつつある、のかな。


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