評価★★☆☆☆
本格SFロマン。
あらすじ
交通事故で瀕死の重傷を負った少女は、半年の昏睡から目覚めた。身体に傷は残っていないにもかかわらず、事故の後遺症か、彼女は外界に対する現実感を喪失したまま悪夢に悩まされつづける。そして次第に明らかになっていく恐るべき事実…表題作「今はもういないあたしへ…」。汚れきった海を裸で漂っていたひとりの少女。その少女をめぐり、彼女を見つけた三人の男女がまきこまれていく悲しい運命…23世紀の海上都市を舞台に生物の進化する意志、時を超えた想いを描いて1982年の星雲賞日本短篇部門を受賞した「ネプチューン」の二篇を収録。
感想
星新一の解説を読みたくて、手を出した作品。
「ネプチューン」と「今はもういないあたしへ…」の二本立て。
「ネプチューン」は進化論だとかタイムリープだとかそこらへんの話。
「今はもういないあたしへ…」はクローン人間の話。
軽い文体だけど、しっかりSFしてる。
星先生の語り口が好きだ。
新井素子の語りかけ文体は太宰治からきており、新井さんの作品が広く読まれているのを下地として
俵万智のような短歌が出現してきたと、興味深いことを語っている。
これからのSFについても言及している。
1988年に書かれた解説なので、今となっては時代を感じるが。
いまの世に、サイバーパンクという用語が、わけもなく歩きまわっている。なんのことなのか、わけがわからない。けちをつけたのは、私が最初かな。
新井さんの出る少し前には、ニューウェーブという用語がうろついていた。それはすっかり忘れ去られ、だれひとり文字にしない。こういうさわぎに巻き込まれたら、作家もだめになる。もともと、売れない人のやっかみなのだ。
ハインラインは死去するし、サイバーパンクはあだ花だし、SF界はどうなるのだろう。スピルバーグは、どこまでがんばるか。なんらかの形でルネッサンスが起るのか、それを見たいものだ。
サイバーパンクもニューウェーブもブームは過ぎ去り、もはや過去のこと。
今のSFはライトノベルと融合しつつある、のかな。