評価★★☆☆☆
あらすじ
学習院、東京帝国大学と、共に過ごした倉橋千歳と鷹司惟顕。倉橋は、海軍中将を父に持ち、厳格な家庭に育った若手の有能弁護士。片や鷹司は、鷹司公爵家の末子で、母校の東京帝大で教鞭をとる若き日本民俗学者。境遇は違うが、共に何故か魅かれ合う親友同士。倉橋は、鷹司公爵家の年始の会に出席、公爵邸の古い土蔵で、ある怪奇現象を体験する。だが、その背景には、哀しい秘話が隠されていた…。第一話「自鳴琴抄」を初めとして、「薄氷」「夢の迷い路」を収録。昭和初期、ロマン豊かな時代を背景に、妖しくも哀しい物語を情趣たっぷりに描く、怪奇幻想小説の傑作。
感想
昭和初期、公爵家の子息で、帝国大学で教鞭をとるかたわら幻想小説を書いている鷹司惟顕は、弁護士で帝国海軍中将の父をもつ倉橋千歳と学習院時代から付き合いがある。
そんな二人が織り成す幻想小説。
雰囲気としては夢枕獏先生の「陰陽師」に近い。
忍び込んだ蔵で見つけたオルゴールについての悲恋談を回想する「自鳴琴抄」、風邪をひいた千歳を見舞いに行って、自身が寝込んだ時のことを振り返る「薄氷」、桜に見入られ夢かうつつか古式の花見に千歳が迷い込む「夢の迷い路」の三本立て。
古き良き時代の優雅さと、雰囲気を楽しむ小説。