評価★★☆☆☆
あらすじ
上巻
近未来。内戦下の日本。両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの隆を守るため、手段を選ばずに生きていくことを決意する。
下巻
おまえが罪を犯すなら わたしも罪を犯そう
戦争を継続させているシステムを破壊するために。月田桜子と椿子。双子の姉妹は女の子だけのマフィア、パンプキン・ガールスつくり、世界に混沌に見を投じた。
感想
■上巻
日本国内で内戦が勃発し、戦後すぐの闇市が栄えた時代のような混沌とした世の中で、兵士として生きる一人の少年の物語。
両親を亡くした海人が妹弟を養うため、煙草を売り歩き食堂で働き、日々を精一杯生きながら、様々な人と出会っていた時はなかなか面白かった。
政府軍の一員として兵士になってからは、戦闘ばかりでつまらなくなった。
せっかく内戦中の日本という興味深い設定にしたのだから、もっと人とのかかわりを重視して欲しかった。
■下巻
長期化した内乱をつうじて、犯罪者、薬物中毒者、脱走兵、戦争孤児、娼婦、マフィアが流入した。
無法状態が恒常化すると、その地域を外国メディアの一部が<九竜シティ>と呼びはじめた。
九竜シティは治外法権の無法地帯だ。
日本最大のマフィアである東京UFの傘下に入っている633部隊、五侠会、義士団がシティの西部を支配し、朝鮮族マフィア高麗幇が東部を支配している。
さらに高麗幇は、東京UFとの強調を模索する古参派の幹部連合と、徹底抗戦を主張する小燕派にわかれていて、おまけに、狂信的で男根主義的なナショナリズムを核とするモーセの活動と、その地下組織「2月運動」のテロがあり、性的マイノリティの武装組織「虹の旗」までいるから、もうぐちゃぐちゃだ。
人口は推定で二百万人。その内訳は、日本人国内難民が四十五%、中国系が三十%、朝鮮系が十二%、ロシア系が四%、その他が九%、いわば内戦状態の日本の縮図といっていい。
さらに、政府軍である首都防衛軍、政府軍最強部隊であり治安情報局の指揮下にある富士師団、反政府連合軍の常陸・仙台・宇都宮・信州軍、地方軍閥の甲府郡軍などの武装勢力が、九竜シティの各マフィア・組織と結びつき、複雑な様相を織り成している。
下巻は九竜シティに逃げてきた月田姉妹が主人公。
彼女たちは奔放だ。
女性専用の売春クラブで男の子を買って遊ぶと思ったら、二人で愛しい死者に呼びかけながら声を張りあげて泣く。
彼女たちはこの混沌とした世界に適応している。
著者の急逝により、未完となった大長編の第一部が本作だが、これだけでもうお腹いっぱいになった。