評価★★☆☆☆
あらすじ
鉄に潜み、刀に形を変え、ひっそり受け継がれてゆく、魔。それは人に憑いて、その運命を変える。一介の僧侶だった斎藤道三は、戦場で一振りの古い刀を拾ったことから出世の階段を登りはじめる。道三の愛妾が生み落とした赤ん坊は、刀とともに忍者集団に拾われ、シナと名付けられた。魔剣に憑かれた美貌の少年シナの運命とは。絢爛豪華に描く、鮮烈歴史ファンタジー巨編、デビュー。
感想
シナの生まれから能を学び終えるまでの竜笛の章より、シナが鬼の面とそれに合う二振りの刀を求める麗羅の章の方が好き。
誰もが魅せられて目を離せない、男とも女とも若いとも歳とも分からない美しいシナ、ときの将軍・足利義輝、いるだけで人を不快にさせる北閻、不気味な憎・玄鏡。
鳥辺野の梅に囲まれた屋敷の中に、彼らはいる。
鬼の面をつくるため、妻と子と共に屋敷に住み込み、狂って鬼となっていく雄峰。
シナに頼まれ魔性の剣を二振りの太刀に作り替えるべく、血眼になって熱中する、雄峰の双子の兄・拓尚。
彼らが鬼気迫って面・太刀づくりに熱中するさまにひかれた。
シナの妖艶ともいえる美しさも伝わってきた。
あとがきで作者自身も述べているように、非常に視覚的な書き方になっている。
【以下ネタバレあり】
シナが己の欲望のために、雄峰・拓尚の双子の兄弟を殺したことを思い、嫌な気分になった。
シナみたいな捨て子、育ての親さえもなくした子は、その時代だったらいくらでもいるでしょ。
大切な人をなくす悲しみを知っているなら尚更、家族を奪うことをしてはいけない。
なんて考えながら読むものじゃないんだけどね…。
【ネタバレを隠す】